大相撲秋場所(東京・両国国技館)は12日目の23日、白鵬は落ち着いて魁皇を退け59連勝。嘉風と豪風は2敗を守ったが、琴欧洲は栃煌山に苦杯を喫し3敗に後退。13日目に嘉風と豪風が敗れ、白鵬が勝った場合、白鵬の4場所連続16回目の優勝が決まる。新関脇・阿覧は負け越し、小結・鶴竜は勝ち越した。栃乃洋が歴代10位の幕内通算出場1119回。
◇新関脇・栃煌山、3大関破る…立ち合い、思い通り
笑顔が止まらない。花道を引き揚げる時から表情を緩ませていた栃煌山は、支度部屋でも目尻を下げっぱなし。「思い通りのいい相撲だった」から無理もない。
圧力十分の立ち合い。右手を伸ばして琴欧洲に低い体勢で当たると、休まず突きを繰り出し、あっという間に琴欧洲を土俵外へ運んだ。「立ち合いで大関が引いたのを確認できた。いい当たりができた。大関に鍛えてもらったことが生きた」
琴欧洲には名古屋場所前から繰り返しけいこをつけてもらい、栃煌山は立ち合いの弱さに気づかされた。「肩に無駄に力が入り、下半身も弱かった」。過去2度の小結でいずれも負け越したのも、立ち合いの当たりの弱さに原因があった。強化しようと、けいこで何度も当たっては、転がされ、倒され、泥まみれになった。
その努力が新関脇の今場所、魁皇、日馬富士、琴欧洲という3大関からの勝利に結実した。「激しく当たれるようになり、当たった後も形が崩れなくなった。足も出ているからその次も速い。楽に相撲を取れる」。放駒理事長(元大関・魁傑)も「今まで上位に簡単に勝負をつけられることが多かったのに、逆になった」と感心した。
あと一つで10勝。到達すれば、大関取りの足がかりができる。栃煌山は相撲同様に歯切れよく言い切った。「重圧はないです」。自信に満ちた笑みも浮かべて。【倉岡一樹】
No comments:
Post a Comment